「フリーランスで自由に生きたい」 そう思ったことがある人は多いはずです。
けれど同時に、こんな不安もよぎります。
• 本当に長く食べていけるのか
• 流行が終わったらどうなるのか
• 年齢を重ねたあとも続けられるのか
そんな問いに対して、 25年間、会社に属さず生き延びてきた当事者の言葉で答えてくれるのが、 25年、フリーランスで食べてます 隙間産業で生きていく です。
本書は、独立を煽る本ではありません。 むしろその逆で、夢を冷ましながら、現実を教えてくれる一冊です。
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「好きなこと」では、フリーランスは続かない
この本で一貫して語られるのは、 「好きなことを仕事にすればうまくいく」という考えへの距離感です。
好きな仕事ほど競争が激しく、代わりはいくらでもいる。 若いうちは勢いで通用しても、年齢とともに厳しくなる。
著者はその現実を、理屈ではなく25年の実体験として語ります。
そこで選び続けてきたのが、 「誰かにとって必要だけれど、進んでやりたがる人が少ない仕事」。
それが本書のキーワードである 「隙間産業」 です。
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隙間産業とは、勝たずに生き残るための場所
隙間産業という言葉から、 「地味」「妥協」「逃げ」を連想する人もいるかもしれません。
しかし本書を読むと、それが誤解だとわかります。
隙間産業には、
• 競争相手が少ない
• 価格競争に巻き込まれにくい
• 一度関係ができると仕事が続きやすい
という、フリーランスにとって極めて重要な特徴があります。
著者は、 目立つ場所で勝つのではなく、 必要とされ続ける場所に居続けることを選びました。
この視点の転換が、本書最大の価値です。
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フリーランスに必要なのは「覚悟」ではなく「設計」
独立というと、 「覚悟」「勇気」「思い切り」といった言葉が並びがちです。
しかし本書が教えてくれるのは、もっと地味で現実的なこと。
• 固定費を増やしすぎない
• 収入源を一つにしない
• 調子がいい時を基準にしない
これらは一見、消極的に見えます。 でも実際は、長く続けるための積極的な判断です。
25年続いた理由は、 「大きく勝とうとしなかったこと」 ここにあるのだと、読み進めるほどに伝わってきます。
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年齢を重ねるほど、この本の価値は上がる
この本は、若いフリーランス向けの本ではありません。
むしろ、
• 会社員としてこのままでいいのか迷っている人
• 50代以降の働き方を考え始めた人
• 無理なく、自分のペースで稼ぎたい人
こうした人ほど、深く刺さる内容です。
体力や流行に依存しない働き方。 年齢とともに価値が積み上がる仕事。
隙間産業は、 「これから先も働き続けたい人」のための現実解だと感じました。
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派手な成功より、折れない人生を選びたい人へ
本書は、成功法則を教える本ではありません。 教えてくれるのは、生存戦略です。
• 勝たなくていい
• 目立たなくていい
• でも、消えない
25年続いたという事実が、 この考え方の説得力を何よりも高めています。
フリーランスに興味がある人だけでなく、 「これからの働き方を考えたいすべての大人」に読んでほしい一冊です。
